解決事例

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。 相続人はお母様と子供たち。 お子様たちの仲は良く、遺産は仲良く分けるつもりですが、高齢のお母様が認知症で意思能力(判断能力)が無い状態。 意思能力が無い方がいると、そのままでは手続きを進めることができないと知り、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。

問題点

相続人の中に意思能力が無い方がいる場合、遺産分割協議を行うにあたり、成年後見人の選任が必要。 さらに相続人の方が成年後見人になる場合は、特別代理人の選任も必要。 成年後見人が遺産分割協議に参加する場合、原則として本人(被後見人)の法定相続分の確保が必要。 財産が多い方については、家族ではなく専門家(司法書士、弁護士など)が後見人に選ばれることが多いが、専門家が付くとランニングコスト(後見人の報酬)がかかる。 子供たちが離れて暮らしているため、遺産分割協議の取りまとめが大変。

当事務所からのご提案

遺産分割協議を行うにあたり、相続人の中に意思能力が無い方がいる場合、本人に代わって成年後見人が遺産分割協議に参加することになります。 成年後見人は家庭裁判所に申し立てを行い、選任してもらいます。 認知症だからと言って必ずしも意思能力が無いというわけではありませんが、このケースではお母様は施設に入所されており、すでに日常会話も難しい状況でした。 そこで今後のことも考えて、お母様の一番近くに住んでいる長男様を成年後見人候補者として申し立てを行うことになりました。 ただし、今回はお母様と長男様どちらも相続人という事で、形式上利害関係が対立するので、ご長男様は成年後見人の立場で遺産分割協議に参加することはできません。 そこで成年後見人の代わりに遺産分割協議に参加する特別代理人についても、家庭裁判所に選任してもらう必要があります。 また、お母様ご自身の財産と今回相続する財産を合わせるとかなりの金額になるため、家庭裁判所が、司法書士や弁護士などの専門家を成年後見人に選任してくる可能性が高いと思われました。 ※当時の運用では、親族後見人による横領を防ぐという名目で、財産が一定額を超えると機械的に専門家が選任されていました。 成年後見は一度開始されると、原則として本人が亡くなるまで続くため、月3~4万円の後見人報酬がかかり続けることが懸念されました。 そこで後見制度支援信託(制度についてくわしくはこちら)という仕組みを利用し、かかるコストを最小限に抑える方法を提案しました。

このように解決しました

方法

AさんにはBさんという妹がいますが、Bさんは既に家を出ており連絡先も分からず音信不通の状態です。 Aさんは両親と暮らしていましたが、ある時父親が亡くなってしまいました。 遺産相続を行う必要が出てきましたが、Bさんは居場所も分かりません。 しかし父親の遺産がなければ母親は生活も困窮してしまうため、Bさんに何も言わず母親とAさんで遺産を分割してしまいました。 ところが後日Bさんから連絡があり、自分も遺産を相続する権利があると主張し始め、トラブルになってしまいました。

担当者からのコメント

このケースでは、お子様方の仲が良く、以前から長男様がお母様の面倒を看られていたため、コストを抑えることを重視して後見制度支援信託をおすすめしました。 しかし、お子様の間で監護方針をめぐって対立があるなど、事情によっては後見信託の利用が適さないケースもあります。 どのような方法が適切かは事情によって異なりますので、成年後見制度を利用するにあたっては、制度に精通した司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。 また、遺産分割のために成年後見制度を利用すると、後見人報酬等のコストがかかる、法定相続分の確保が必要なため税務上有利な遺産分割ができない、等のデメリットが生じることがあります。 このようなデメリットを回避するためには、生前に相続に精通した司法書士などの専門家に相談の上、遺言書の作成、特にご夫婦の場合は夫婦相互遺言を作成しておくことを強くおすすめします。

まとめ

当事務所では、認知症の方がいる場合の相続手続きや認知症に備えた生前対策・遺言書作成について数多くのサポート実績がございます。 ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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